2022年6月23日に専攻医向けレクチャーが開催されました。

今回は外部より講師を招き、函館稜北病院 川口 篤也先生より「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」についてのご講演をいただきました。
川口 篤也先生は同病院総合診療医として、在宅医療や介護連携などをはじめ様々なフィールドで精力的にご尽力され、ACPに関しても多数ご講演をされておられます。

まずはACPの成り立ちやその概念などからお話いただきました。ACP・DNAR・事前指示などの概念は正しく理解し適切に行うことが重要ですが、今回しっかりとお話を聴けたので自分の頭の中を整理することができました。
先生が実際に診療されている患者さんの事例紹介や取り組みを交えながらACPについて学べましたが、個人的には「ACPを話し合う機を逃さない」というお言葉が印象的でした。
これまで元気だったから今後の話をした事などなかったけれど、いざ重大な疾患に罹ってしまい今後のことを考えなければならなくなった際にどうしたら良いか分からなくなる…また、家族同士で、最期に過ごしたい場所や受けたい医療のことなどについて話し合うのは気恥ずかしくてできないなどといったケースはよく経験します。
川口先生のポイントとして、誕生日を迎えたタイミングで今後どう過ごしたいか尋ねてみる、患者さんやご家族がなんとなく話をしたそうにしている「間」を逃さない、告知直後など頭が真っ白になっているであろうタイミングは避け少し落ち着いたタイミングで話をしてみる、などの助言をいただきました。早速実臨床でも試してみたいと思います。

また、一つの施設でACPを完結させるのではなく、複数の施設で連続して話し合いを続け、移り変わっていく患者さんやご家族の意思を聴取し続けることが重要であることや、ACPは「一点」の話ではなくプロセスであり、ingであることなど、貴重なお話を多く聴くことができました。実際に、川口先生が使用されているカルテ上のACPについての記載も拝見でき大変参考になりました。
川口先生が登場キャラのモデルになっておられる、在宅診療を描いた漫画「はっぴーえんど」、ぜひ読んでみようと思います。

末尾となりますが、川口先生、大変お忙しい中貴重なご講演をいただきまして、誠にありがとうございました。今後とも、何卒宜しくお願い申し上げます。

文責:堀之内 泰雄 拝

2022年6月23日に専攻医向けレクチャーが開催されました。

2022年6月23日に専攻医向けレクチャーが開催されました。

今回は、津久見中央病院 岩間 優先生から「地域包括ケア」についてご講義をいただきました。

初期研修は大学病院や地域中核病院等の急性期病院にて行うことが多いため、地域特有の問題や医療に対するニーズを知る機会が少なくその後地域に出て診療や活動を行う際に、苦慮することが多々あります。総合診療医は病院内にとどまらず地域に出て保健、福祉活動を行うことが求められます。

今回はそんな地域の特性を地域志向アプローチ、コミュニティ・アズ・パートナー(CAP)モデル、Social Determinants Of Health(SDH)などのモデルを通して地域医療の課題を明確にするアプローチ方法や、実際に病院からさまざまな地域に出て、高齢者サロンに参加しての地域の生の声や、地域医療に貢献するためのさまざまな工夫を紹介していただきました。

講義を聞いて、地域医療においては予防医療、急性期から慢性期まで、地域の特性やニーズに合わせて、さまざまな視点からの医療への考え方が求められると思いました。急性期病院では行わない、地域に飛び出し在宅医療に参加することや、中高生健康診断など全年齢を対象にした様々なアプローチは地域全体の健康推進に大きく貢献していると感じました。他にも離島診療支援ではドローンを使って人口30人程度の島に処方薬を届けるといった、最新技術を使って医療資源の乏しい地域医療を解決しようとする試み等、本当にたくさんの取り組みに驚きました。地域医療に少しでも貢献できるよう、地域の特性を学習し明日からの診療に活かしたいと感じました。

岩間先生、貴重なご講義ありがとうございました。

文責 後藤 亮(津久見中央病院)

2022年5月26日ポートフォリオ勉強会

当科では、毎月第4週木曜日に専攻医のポートフォリオ勉強会を開催しています。
指導医からのレクチャー及び、専攻医がポートフォリオの各テーマについて学んだ内容を発表する場となっています。
その後、ポートフォリオ作成実践について個別面談が行われます。

2022年5月26日より今年度の各レクチャーが本格的に開始となりました。
今回の専攻医からの発表は、筒井先生より「BPSモデル」についてでした。

先生が経験された、コントロール不良の糖尿病患者さんでの経験をベースとしたレクチャーでした。
内服アドヒアランスなどが不良の原因について詳しく患者さんの状況を整理してみると、そもそもの糖尿病によるリスクや治療によるベネフィットについて患者さんと医療者側との共通の理解基盤ができていないことによるアドヒアランスの低さや、正職を失ったことによる金銭面の問題、バイトを掛け持ちにしていることにより不規則な生活となっていること、その中で子育てもしないといけないなど、多くの問題点が存在することが判明しました。

それぞれについてBPSモデルに当てはめることにより本症例の問題点が整理され、かつ、BPSそれぞれの項目の問題点が他の項目の問題点にも繋がっていることや(リスクの理解が不十分なため治療意欲が高まらず内服アドヒアランスが悪い、バイトで忙しいから規則正しい食事ができず糖尿病悪化につながる等)、逆に言うと一つひとつ問題点を改善することにより相互作用で他の項目の問題点も解決に向かうことが明確となり、その後の療養指導へとつなげることができたという内容でした。

さらに、患者さんの状況の把握にはカキカエ(解釈、期待、感情、影響の頭文字)が重要であるというお話もありました。

次回は、6月23日 岩間先生より「地域包括ケアを含む地域志向アプローチ」について発表していただきます。
私自身も専攻医として非常に楽しみにしています。

文責:堀之内 泰雄

第1回 Common diseases輪読会

昨年度実施していた家族志向ケア輪読会に続き、今年度から新しくCommon diseases輪読会を開始しました。

日常診療でよく出会い、対応できて当然とされるCommon diseasesですが、それ故に系統的に学習できる機会は意外と少なく、兼ねてより専攻医よりレクチャー希望の多かった分野でした。

第1回は、2022年6月9日にzoomを用いてオンラインで開催され、第19章「市中肺炎」、第19章「非結核性抗酸菌症」を扱いました。

肺炎は外来受診患者の1-2%を占め、日本人の死因統計で3位にのぼる、Common diseasesの代表格とも言える疾患ですが、各先生方が研修を積まれた病院や地域ごとにアプローチ法や対応に差異があり、とても興味深いものでした。また若手の研修医にとって経験が乏しい診療所やクリニックレベルでの外来診療について、現場からの話を聞くことができ、非常に有意義でした。

非結核性抗酸菌症についても参考書が非常にまとまっており、またご参加いただいた宮﨑教授からは専門的な目線からの補足もいただけて、大変勉強になりました。

たくさんの専攻医の先生にご参加いただけたことで、議論も活発なものになりました。ありがとうございました。

次回は7月14日、第21章「肺結核」、第31章「高血圧症」を扱う予定です。

<Common diseases輪読会>

●日時:毎月第2木曜日 20時頃~

●内容:Common Diseases Up to date 南山堂

当日はよくわからなかったところ、印象に残ったところをピックアップし、

自分の経験と照らし合わせながらの振り返りを含めてディスカッションを行います。

文責  筒井 勇貴

2022年5月26日に専攻医向けレクチャーが開催されました。

今回は、津久見中央病院 堀之内 登先生から「EBM」についてご講義をいただきました。

臨床分野に比べるとレクチャーや参考書が少なく、系統的に勉強する機会の少ない分野でしたが、EBMの基礎用語から日常診療への5stepの活用方法まで、初学者にもわかりやすく教えてくださいました。

実際私もEBMには苦手意識をもっていましたが、基礎知識から身に着けることで、かなり理解を深めることができました。

また、EBMを実践するにあたって、英語原著論文を読めるようになる必要が必ずしもあるわけではないということも学び、文献検索のハードルがかなり下がったように思います(もちろん読めるに越したことはありませんが)。

堀之内先生、貴重なご講義を賜りまして、ありがとうございました。

次回は、函館稜北病院 川口篤也先生によるACPのレクチャーの予定です。

文責  筒井 勇貴

2022年4月28日にポートフォリオ勉強会が開催されました。

今回は新年度初回ということで、2年目以降の専攻医の先生方の1年間の振り返りと、新しく加入してくれた3名の専攻医の先生方の所信表明の発表を行いました。

また、他県から総合診療研修の一環として津久見中央病院に後期研修に来ていらっしゃる先生や、大分健生病院で総合診療プログラムに加入している専攻医の先生にも同様にご参加いただきました。

他の専攻医の先生方の充実した学習内容や熱意ある目標を共有し、みなさん気持ちが引き締まったことと思います。

その後、ポートフォリオの個別面談を行いました。

次回は5月26日、私のBPSモデルのコアレクチャーに加えて、津久見中央病院 堀之内 登先生のEBMについてのレクチャーを行う予定です。

文責  筒井 勇貴

3人の新しい先生方が「豊の国大分総合診療専門研修プログラム」に登録し研修を開始しました。

 2022年4月から、3人の新しい専攻医の先生方が「豊の国大分総合診療専門研修プログラム」に登録し研修を開始しました。

■後藤亮先生(津久見中央病院)

このプログラムを選択した理由は、研修医生活の2年を終え様々な分野に興味を持ち、数多くの分野に関わり、実際に治療に介入できるのがこの科であるからです。悪い言い方をすると優柔不断なのかもしれませんが、一人の患者さんに対してより良い医療を提供するため専門家の分野を超えた可能性を一つ一つ熟考することにとても興味を持っています。後期研修医期間はより多くの症例や手技を経験し、一歩でも先輩方の診療に近づけるよう全力で努力してまいります。

■堀之内泰雄先生(大分大学医学部附属病院)

私は大分出身であり、地元の医療に貢献したいと考え大分大学で医学を学ぶ事を決めました。その過程で、幅広く疾患を診ることができ、患者さんの生活状況にもアプローチすることを得意とする総合診療科に魅力を感じ、入局しました。当科の先生方は皆優しく、患者さんに寄り添う医療を行っており、私もそのような医師になりたいと考えています。科の性質上、幅広い患者さんの訴えへの対応力が求められるため、診断力をしっかりつけていきたいと思います。

■伊南利菜先生(大分市医師会立アルメイダ病院)

コロナ流行により近頃はあまり取り沙汰されていないように思われますが、2025年・2035年問題という呼称で超高齢社会・日本の未来が危ぶまれており、総合診療科は地域医療をはじめ様々な面から、我が国の医療課題解決の一端を担ってまいりました。自分は緩和医療もできる訪問診療医を目指しているため、このプログラムを選択しました。まずは、いまの自分の業務をひとつひとつこなし、夢にむかって一歩ずつ歩んでいく所存です。

 皆様のこれからのご活躍を心からお祈りしております。

文責:塩田星児

ポートフォリオ勉強会を開催しました。

2022年2月24日にポートフォリオ勉強会を開催しました。

コアレクチャー「行動変容」

行動変容の各ステージやLEARNのアプローチ、重要度・自信度モデルを使ったアプローチ法を、私が診察した患者さんとの会話をもとにレクチャーさせていただきました。

レクチャーの発表準備として、行動変容について勉強した際に、自分の経験と照らし合わせながら学ぶことで自分の行動でよかったことや改善点などが明確になりました。

その後に専攻医ごとに個別の症例相談を行いました。

文責 赤峰理沙

第11回 家族志向ケア輪読会

022年3月10日に、zoomを用いてオンラインで開催しました。

第19章「心と身体の分離をまとめる:身体化の固定への生物心理社会的アプローチ」

第25章「共同して働く:家族志向のメンタルヘルス専門家との連携・紹介」

を扱いました。

総合診療医、家庭医としては働いていると、各種検査を行っても診断のつかない症状を抱える多くの患者さんと出会います。病気の根源は「仕事のストレス」だったりと、生物的な視点のみならず、心理社会的な視点が総合診療医・家庭医にとって重要です。また、精神科等への紹介をすべき患者さんに出会うこともあります。日常診療での「あるある」をシェアして、対応法などを皆で話しました。なかなか1人では(厚い本で難解なところもあり)読み進めることが難しいかなあと思われましたが、1年間を通じ、皆で少しずつ勉強することで、日常診療の振り返りもでき、多くの学びを得ることができました。

<家族志向ケア輪読会>

●日時:毎月第2木曜日 朝 7:30-8:15

●内容:家族志向のプライマリ・ケア(日本語版) https://amzn.to/3vtes6J

当日はよくわからなかったところ、印象に残ったところをピックアップし、

自分の経験と照らし合わせながらの振り返りを含めてディスカッションを行います。

(文責:衞藤)

第10回 家族志向ケア輪読会

第10回 家族志向ケア輪読会

2022年2月10日に、zoomを用いてオンラインで開催しました。

第18章「慢性疾患への挑戦:向き合っていく患者と家族への援助」を扱いました。

「糖尿病の管理は恋人や配偶者が介入することで改善される」(本文より)。糖尿病の中年男性への食事指導をする際に、妻も外来に呼ぶことがあります。このように、普段の日常診療において、家族への対応が重要な場面は多々あります。

慢性疾患の患者の家族は、どのような心境であるのかを中心に、本文をもとに話し合いました。認知症患者の家族が疲弊するケースがあるように、指導医より、「本当に困っている家族は、コミュニティから離れていく」との言葉がありました。

家族へのケアの重要性・難しさを改めて感じた会となりました。

次回は、3月10日の予定です。

<家族志向ケア輪読会>

●日時:毎月第2木曜日 朝 7:30-8:15

●内容:家族志向のプライマリ・ケア(日本語版) https://amzn.to/3vtes6J

当日はよくわからなかったところ、印象に残ったところをピックアップし、

自分の経験と照らし合わせながらの振り返りを含めてディスカッションを行う予定です。

(文責:衞藤)