2023年度 第6回新家庭医療勉強会の開催報告

 11月30日に第6回新家庭医療勉強会が開催されました。今回は「困難な患者対応」について、大分大学医学部附属病院 堀之内登 先生からご講義を賜りました。

 臨床に携わっている医師で困難な患者対応に難渋する経験をしたことがない方はいないと思います。今回はそういった状況に対して、理論的に理解し対応する方法をレクチャーしていただきました。

 まず患者対応が困難である場合、その要因は患者要因、医師要因、状況要因の3つに大別されます。「感情的、主訴が多い/あいまい、医療への過度の期待」など、患者要因が主たる要因であることもありますが、それ以外にも「知識/経験不足、自己防衛的、疲労、睡眠不足」などの医師要因、「外来がひっ迫している、周囲がうるさい、言語が通じない」などの環境要因も困難な状況に大きく関わります。従って、患者対応が困難と感じた場合には、目の前の患者様だけではなく、自分自身のスキルや状況のせいではないか、一度状況を客観視することが望ましいです。また、患者要因は簡単に解決されるものではないことが多いため、まずは医師要因と状況要因から改善を図るとよいことを教えていただきました。その上でも患者要因で対応が困難な状況ではタイプ別対応方法があり、その中でも代表的な「怒っている患者様」「身体症状症と思われる患者様」に対して、避けるべき行動と推奨される行動をそれぞれ教わりました。

 医師も人間であり、困難な患者対応の際にはどうしても陰性感情が発生することがあります。陰性感情を持たないようにすることは難しい(というよりほぼ不可能)であるため、陰性感情を抱いたときにそれを自覚し一呼吸入れること、落ち着いてから上司や同僚と共有し、改善点についてディスカッションすることで、その患者様や今後同様のシチュエーションに出会った際に、上手に立ち回ることができるようになります。

 自分自身が陰性感情を抱きやすかったり、緊張して焦ることが多いので、今回の講義内容をしっかり反芻し、今後の診療に役立てていきたいと思います。末筆ではございますが、堀之内先生、貴重なご講義を賜りありがとうございました。

文責  筒井 勇貴